浜松医科大学内科学第二講座
人を知る
内分泌代謝内科 専門医(臨床)
原因と結果がすっきりつながる。
それが内分泌・代謝学の魅力。
内分泌代謝内科
河内 優人医師
浜松医科大学 2015年卒
研究と臨床を両立できる場として、入局を決意。
現在、後期研修医として磐田市立総合病院 糖尿病・内分泌内科に勤務する河内。祖父と伯父、ふたりの医師の姿を幼いころから見てきたことで、自然に自分の将来像と医師という職業を重ねていたという。やがて、世の中にはさまざまな疾患があり、それぞれ多くの患者さんが存在していることを知った河内は、医師という仕事ではなく、病気を治療し患者さんを助けるという医師の使命に共感し、改めて確かな足取りでこの道を歩むようになったという。そんな河内が内分泌・代謝内科に興味を持ったのは、学生時代に「ホルモン導体」と出会ったのがきっかけだった。「内分泌・代謝学では、病態を論理的に推理し、追求していきます。内分泌系の病気は、下垂体や副腎、甲状腺などの疾患によりホルモン作用のバランスが変化することで生じますが、ホルモンの働きと調整の仕組みを理解することで、症状から原因を正確に推し量ることができます」。その原因と結果がすっきりと結びつくところに、強く惹かれたという河内は、内分泌・代謝内科の専門課程に進むことを決意する。「研究に専念するという進路も考えましたが、研究だけに絞るのではなく、自分の研究結果を臨床で確認したい、または臨床で得た経験を研究に生かしたかったんです」。臨床と研究を両立させるのであれば、大学の医局が環境としてはベストだ。浜松医科大学の内分泌代謝内科は、大学本体に加えて関連病院での教育体制も充実している。また経験豊富でありながら若手にも親身に接してくれる医師がたくさんいる、そんな温かみのある医局の雰囲気も入局を後押ししたという。「充実した指導が受けられることはもちろん、人脈が広がることや珍しい症例を担当する機会が十分にあることなど、医局で得られるものは少なくありません。そして、経験豊富な上級医の先生方が大勢いるため、患者さんの治療方針に悩んだときに意見を伺えるのはとてもありがたいですね」。
地域の中核病院でさまざまな症例を学ぶ。
磐田市は人口に対して比較的医療機関が少なく、河内の勤務する磐田市立総合病院は毎日多くの患者さんが訪れる。「主な職務内容は、外来業務や病棟業務、救急業務で、甲状腺エコー検査や随時ホルモン負荷試験なども行っています。磐田病院は地域の中核病院を担っているので、糖尿病のように一般的な疾患に加えて、いわゆるRare Diseaseを有する患者さんも来院されるのが特徴なのですが、上級医の先生の指導の下で日々の診療に当たっています」。そんな背景もあって、ひとりの患者さんに向き合う時間に限りのある中で、河内が大切にしているのは「信頼関係の構築」だ。「治療行為だけでなく、患者さんの気持ちをくみ取り、共に病気と闘う気持ちを醸成することが大切です。例えば糖尿病なら、まず生活習慣や食事、運動量などを正確に把握して栄養指導や運動指導を行い、それでも補えない部分に薬を出します。患者さんの生活に関する詳細な情報も必要ですし、患者さん自身にも努力していただかないといけないことも多い。だから、最初に信頼関係を築けないと、結局患者さんが納得できる医療の提供は難しくなってしまうんです」。さらに糖尿病は予備軍が多く、自覚症状のない人たちに対してどう予防策を訴えていくかも、地域医療の大きな課題だ。「病院でも、11月の世界糖尿病デーに合わせてセミナーを開催したり、市民講座や健康診断のPRなどを積極的に行っています」。患者さんから「症状が良くなりました」といった言葉をいただいた時や、実際に治療後に元気になった姿を見た時は、いつも変わらない感動があると語る河内。まだ若手ながら、地域医療の未来を見つめる眼差しは力強い。
研究はまだこれから。新たな挑戦への夢。
まだ後期研修中なので、今は臨床経験を積むことに集中している河内だが、心の中で温めている研究テーマがある。「医局内での相談も必要なのであくまでも個人的な希望ですが、やはり内分泌代謝内科を選んだきっかけになった、下垂体や副腎のホルモン導体系の研究ができたらうれしいですね。実は今の医局のトップも下垂体と副腎の専門家で、磐田病院の部長もホルモンが専門と、とても恵まれた環境にいます。そんな先輩たちの研究を引き継いで、さらに発展させたいというのが、研究面での夢ですね」。早ければ来年にも研究に取り組みたい、と河内。自分の研究結果を臨床で確認したい、臨床で得た経験を研究に生かしたい。専門医に進む動機をそう語っていた河内の、新たな挑戦は近い。MESSAGE
浜松医科大学内科学第二講座は、教育体制が充実しているため、幅広い経験や知識が得られます。また、親しみやすい先生や相談しやすい先生が多く、良い雰囲気で業務に当たることができます。少しでも興味を持たれている方は、ぜひ一度病院見学に来てみてください。お待ちしております。取材:2019年6月